ブロックチェーンで証明書を発行する事例

ブロックチェーンとは、ネットワークに接続した複数のコンピュータによりデータを共有することで、データの耐改ざん性・透明性を実現することできる仕組みです。

印刷された証明書などの画像データを、改ざん不可能なデジタル証明書へ変換することが可能です。
現在、証明書の原本とは印刷物で管理され、押印やサインでその原本性を担保していますが、上書き改ざんができないブロックチェーンで原本と同じ担保性を持ったデジタル証明書の発行を行うことができます。

今回、当社では自社の株主155名に対して「株主記載名簿証明書」をブロックチェーンで発行し記念楯として株主に進呈を行いました。

デジタル証明書はブロックチェーン上で管理され、利用者はスマートフォンでいつでも閲覧できます。

【発行事例1】

株式証明書の発行プラットフォーム

今回、当社ではブロックチェーン配備プラットフォームを使って、自社の株主に対し「株主名簿記載事項証明書」を ブロックチェーン上に発行、記念楯として155名の株主に対し1月13日に進呈配布いたしました。

【発行事例2】

バレンタインデーにブロックチェーンで愛を伝えるサービス 

それは、“世界中の約8,000台のコンピューターが、あなたのメッセージを半永久的に共有、保存し続ける仕組みです。”

「あなたがメッセージをした」ということがブロックチェーン上で取引として成立し、現在世界中でつながっているブロックの塊の最後尾に暗号化されて記録されます。(暗号化されるので個人情報などは100%守られます)

そして暗号化された値は世界中のノード・コンピューター(約8,000台)にて、検証され保存・共有されます。認識ページではメッセージの情報やあなたの名前は英文字で表記され、QRコードやURLを知っている方のみがパソコンやスマートフォンで見ることができます。

Yahoo ニュースでも取り上げられました。

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20210212-00118922-coindesk-bus_all

記憶に残る素敵な1日になるように、以下の情報を送ってください。

①あなたのお名前と相手の方のお名前を英文字でお送りください。

例)Hanako Yamada/ Jiro Suzuki

例) Momo / Kenta

②メッセージを送ってください。日本語でも結構です。

③愛の大きさを教えてください。義理チョコを送る相手なら1で、親族や本命相手なら1000という感じで愛の大きさを1から1000までの数で表してください。

今回は100名限定でブロックチェーン発行しております。受付はLINEまたはメールにてお願いします。

受付メール valentine@sekai-go.jp

受付用のQRコード

株式明細の証明書発行に対して法的問題点の検証-弁護士の見解
前提条件
  • 現状、株主名簿は別途作成の上、希望する株主に対しては「有価証券発行証明書」を発行しているが、当該「有価証券発行証明書」の代わりとして、ブロックチェーンを用いたトークン(以下「証明トークン」といいます。)の発行により、株主が自己の保有する株式の情報を閲覧することができるようにした。
  • 証明トークンには簡易的な情報のみが記載され、当該証明トークンそれ自体が価値を持つものではなく、当該証明トークンが売買や交換等の対象となり得るものではない。
  • 当該証明トークンを移転することはできず、証明トークンと結びつきのある株式が会社法上の手続に従って譲渡された場合には、従前の株主に付与された証明トークンは消滅し、新たな株主に対して当該株式の保有に関する新たな証明トークンが発行される。
  • 将来、移転することが可能な株式の代替となるトークン(以下「本件トークン」といいます。)を発行する想定である。
  • 当該本件トークンを移転したとしても本件トークンと結びつきのある株式は譲渡されず、別途会社法上の手続に従って譲渡手続きを行わなければ株式は譲渡されないという仕組みとする(株式が別途譲渡されたことに伴って、付随的に本件トークンも移転する)想定である。
  • 本件トークンが表章するのは、非公開会社の株式である。
結論

結論としては、上記前提に記載の本件トークンの前提を踏まえると、本件トークン自体が移転可能であるとしても、本件トークンは前回お答えした「電子記録移転有価証券表示権利等」に関する金商法の規制及び「暗号資産」に関する資金決済法の規制の対象となると判断される可能性は低いと考えます。

もっとも、本件トークンの使われ方等の実態を前提とした個別具体的な判断の中で、本件トークンが「暗号資産」又は「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当し、各法令の規制対象となる可能性も否定できないと考えますので、詳細な資料等を開示した上で、当局へご確認いただいた上で発行をしていただく方が安全と考えられる点、ご留意下さい。

検討
1.金商法上の規制の適用の有無について
(1) 「電子記録移転有価証券表示権利等」該当性について

前回お答えした通り、「電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示される」ものは「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当し、金商法の規制対象になると考えられます(金商法第29条の2第1項第8号、金商法業府令第1条第4項第17号、第6条の3)。

証明トークンについてはそもそも「移転」しないという前提であったため電子記録移転有価証券表示権利等には該当しないと考えられますが、本件トークンについては移転可能であるという前提であるため、上記「移転することができる財産的価値」への該当性が問題となると考えられます。

そして、この「移転することができる財産的価値」に該当するかという点については、「契約上又は実態上、発行者等が管理する権利者や権利数を電子的に記録した帳簿(当該帳簿と連動した帳簿を含む。以下2-2-2において「電子帳簿」という。)の書換え(財産的価値の移転)と権利の移転が一連として行われる」かどうかで判断されるとされています(「金融商品取引法等に関する留意事項について(金融商品取引法等ガイドライン)」2-2-2、令和2年4月3日付金融庁パブリックコメント回答(https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200403/01.pdf)Q174)。

「権利の移転が一連」として行われるかどうかについては、実態に即し個別具体的に判断されると考えられますが、株式に係る権利をトークン化した場合、当該トークンが譲渡されることにより当該株式に係る権利についても自動的に譲渡されるような場合には「権利の移転が一連」として行われると判断される可能性が高いと考えられますが、トークンが譲渡されたとしても株式に係る権利までは譲渡されない場合には、「権利の移転が一連」として行われているとは判断されない可能性が高いと考えます。

本件トークンについては、本件トークンを譲渡したとしても株式自体の譲渡等の効果は発生しないとのことですので、「権利の移転が一連」として行われていると判断される可能性は低いと考えます。

但し、この点については、実態上、投資家から見て「権利の移転が一連」として行われているかのように判断される場合には、形式的に当該トークンと株式に係る権利が分けられていたとしても、「権利の移転が一連」として行われていると判断される可能性は残ると考えられる点、ご注意下さい。

例えば、トークンを譲渡しても当該トークンに係る株式は譲渡されず、発行会社の承諾等を経なければ株式の譲渡はなされないような場合(形式的にはトークンと株式が分けられている場合)でも、トークンが譲渡されることにより機械的(自動的)に当該承諾等も行われるような仕組みとなっている場合には、「権利の移転が一連」として行われていると判断される可能性が考えられます。

上記の点について、金融庁企画市場局イシゾノ氏に匿名ベースで確認したところ、同趣旨の回答を得ております。

以上より、本件トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当すると判断される可能性は低いと考えられますが、実態に基づく個別具体的な判断では該当すると判断される可能性も否定できないため、貴社において詳細な資料等を開示した上で、当局へご確認頂く方が安全と考えます。

なお、本件トークンが「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当しないのであれば、本件トークンは「有価証券」に該当せず、金商法の適用対象外となると考えられますので、この場合は他社の依頼に基づき当該会社の株式について本件トークンと同種のトークンを発行することについても、第一種又は第二種金融商品取引業の登録は必要ないと考えます(但し、以下に検討するように、本件トークンが暗号資産に該当する可能性がある場合には、別途検討が必要になると考えられる点、ご留意ください。)。

(2) 本件トークンを「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当させないようにするための留意点

以上を前提とすると、本件トークンについては、発行する際に以下の点にご留意いただく方が良いと考えます。

 ア 本件トークンを設計する際の留意点

上述した通り、本件トークンの移転と株式の譲渡が一連として行われているかのようにみられる場合には、「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当すると判断される可能性があると考えられるため、両者は一連として移転するものではないことを本件トークンに関する仕組み上明確にしておく方が良いと考えられます。具体的には、本件株式の譲渡が先に行われ、かかる譲渡の手続が完了した結果本件トークンが移転するという仕組みとしておくことで、本件トークンと株式の移転が一連として行われているものではないと説明できるようにしておく方が良いと考えます。

また、貴社は非公開会社であると認識しておりますが、仮に、貴社が公開会社となった場合(譲渡承認なく貴社の株式を譲渡できるようにした場合)、株式譲渡に関する譲渡承認手続がなくなり、本件トークンの譲渡と貴社の株式の譲渡が同時に行われていると判断される可能性が高まると考えられますので、本件トークンを発行する場合、貴社の株式に関する譲渡制限は撤廃しないようにご注意いただく方が良いと考えます。

 イ 契約上の措置

上記のように、本件トークンとそれが表章する株式が一連として移転するものではないということを明確化するため、本件トークンを保有する株主との契約において、本件トークンの有償での譲渡自体を禁止したり、本件トークンの譲渡には貴社の承諾を必要とした上で本件トークンを譲渡したとしても当該本件トークンに係る株式自体は譲渡されない旨(株式に係る権利と本件トークンは結びついていない旨)を明確化したりすることが考えられます。

なお、イシゾノ氏に確認したところ、上記のような契約上の対応をしている場合には「権利の移転が一連」として行われると判断される可能性は低いと考えられる旨の回答を得ております。

また、例えば、発行された本件トークンを、株主が自由に第三者に譲渡し、本件トークンの譲受人との間で、本件トークン保有者には自己が配分を受ける剰余金の一部を再配分するといった契約を締結する場合、貴社が発行した段階では本件トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当しなくても、当該株主から本件トークンを譲渡する段階で「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当すると判断される可能性も理論上は考えられる(この点についても、上記イシゾノ氏から同様の見解を得ています。)点、ご留意ください(貴社としてはコントロールできない範囲での出来事にはなるため、株主のかかる行為によって貴社の発行する本件トークン自体が「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当するという取扱いにはならないと考えられるものの、かかる株主の行為によってトラブルに巻き込まれたりする可能性があると考えられます。)。

 ウ 技術的な措置

上記イシゾノ氏から明確に伝えられたものではございませんが、上記のような契約上の措置の他、例えば、貴社において会社法に基づく株式譲渡承認手続を経て譲渡承認がなされない限り、本件トークンも移転されないような技術的な措置を講じておく方が良いと考えます。

(3) 「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当するトークンを発行する場合についての補足

以上の通り、今回ご想定されている本件トークンについては、「電子記録移転有価証券表示権利等」には該当しない可能性が高いと考えられますが、仮に本件トークンが「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当する場合でも、貴社が本件トークンを発行することそれ自体について、金融商品取引業の登録が必要になるものではないと考えられます。

すなわち、株券(金商法第2条第1項第9号)にかかる権利を表章している「電子記録移転有価証券表示権利等」は、募集又は私募について金融商品取引業の登録が必要となる有価証券には該当しないと考えられるため(金商法第2条第8項第7号、第28条第2項第1号)、本件トークンを自社で発行することそれ自体については金融商品取引業の登録は不要と考えられます。

しかし、「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当する1項有価証券となる以上、金商法上の1項有価証券として規制の対象となるため、例えば、49名を超える引受人に対して「電子記録移転有価証券表示権利等」の引受けの勧誘をする場合、有価証券の募集(金商法第2条第3項、金商法施行令第1条の5)に該当し、有価証券届出書の提出が必要となる等の規制の対象となると考えられます。

貴社におかれては、株式型クラウドファンディングにて株主になっていただいた方に対して本件トークンを発行するご想定とお聞きしておりますので、仮に「電子記録移転有価証券表示権利等」に該当する可能性のある内容で本件トークンを発行する場合には、当該発行に関して金商法の規制の適用がないかという点を慎重にご検討いただく方が良いと考えられる点、ご留意ください。

2.資金決済法上の規制の適用について

(1) 本件トークンの暗号資産該当性

「電子記録移転有価証券表示権利等」については資金決済法の適用対象外と解されているところ(上記金融庁パブリックコメント回答Q1)、上記の通り、本件トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」には該当しないと考えられるため、資金決済法に定める「暗号資産」に関する規制の適用対象となるかについて以下にて検討いたします。

資金決済法上、「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値」は「暗号資産」に該当するとされているところ(資金決済法第2条第5項第1号、以下「1号暗号資産」といいます。)、本件トークンは、あくまでも株式を表章するものとして発行されるものであり、物品の購入等の対価の弁済のために不特定の者に対して使用することは想定されていない(決済手段として利用されることは想定されていない)と理解しておりますので、1号暗号資産には該当しないと考えます。

次に、資金決済法上、不特定の者を相手方として1号暗号資産と相互に交換を行うことができる財産的価値(電子情報処理組織を用いて移転することができるもの)についても「暗号資産」に該当するとされています(資金決済法第2条第5項第2号、以下「2号暗号資産」といいます。)。

そのため、1号暗号資産を用いて本件トークンを購入したり、本件トークンを売却することにより1号暗号資産を獲得したりすることが可能(暗号資産と相互に交換可能)であると判断される場合、2号暗号資産に該当すると判断される可能性が考えられます。

暗号資産と相互に交換が可能であるかについては個別具体的に判断されることになると考えられますが、判断基準として「発行者による制限なく、1号暗号資産との交換を行うことができるか」という点が挙げられているところ(「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)16暗号資産交換業関係」Ⅰ-1-1)、本件トークンについては、1号暗号資産(いわゆる仮想通貨)との交換がなされることは想定されていないものと理解しておりますので、本件トークンについては2号暗号資産に該当する可能性も低いと考えます。

但し、上記の通り、暗号資産と相互に交換が可能であるかという点については個別具体的な事情によっては2号暗号資産に該当すると判断される可能性はあると考えられるため、本件トークンを保有する株主との間の契約において、本件トークンについて有償(暗号資産との交換)での譲渡を禁止すること等により、2号暗号資産に該当すると判断されるリスクを低くすることも重要と考えます。

なお、上記の解釈について、金融庁監督局暗号資産モニタリング室ニシクボ氏に匿名ベースで確認をしましたが、個別具体的な話については電話で回答することはできず、具体的なスキームや資料等と共にメール等により問い合わせを行って欲しいとのことであり、明確な回答は得られておりませんので、詳細な資料等を開示した上で、当局にご確認頂いた方が安全と考えます。

(2)  「暗号資産」に該当するトークンを発行する場合についての補足

以上の通り、本件トークンについては、1号暗号資産及び2号暗号資産に該当する可能性は低く、貴社のご想定を前提とすると資金決済法の規制がかかる可能性は低いと考えますが、仮に本件トークンが「暗号資産」に該当する場合に本件トークンを発行する際に係る規制について若干補足させていただきます。

すなわち、「暗号資産」の(ⅰ)売買や他の暗号資産との交換、(ⅱ)(ⅰ)の行為の取次ぎや代理、(ⅲ)(ⅰ)又は(ⅱ)の行為のために利用者の金銭を管理する行為、(ⅳ)他人のために「暗号資産」を管理する行為を行うためには、「暗号資産交換業」の登録を行う必要があるとされています(資金決済法第2条7項及び8項、第63条の2)。

そのため、貴社が本件トークンを発行して、その代わりに金銭を取得するような場合には、暗号資産の売買を行っていると判断され、暗号資産交換業の登録を行う必要があると考えられる点、ご注意ください。

なお、「暗号資産」の発行のみを行い、上記(ⅰ)~(ⅳ)の行為を行わないのであれば(暗号資産を特定の取引所を通じて発行し、当該取引所が不特定多数に販売するようなケースと考えられます。)、基本的には資金決済法上の業登録は必要ないと考えます(上記「事務ガイドライン」Ⅱ-2-2-8-1注1)。

もっとも、上記についても個別具体的な判断のもとでは、本件トークンが「暗号資産」に該当すると判断される可能性は否定できないと考えますので、暗号資産に該当し得るトークンを発行する際には、詳細な資料等を開示した上で、当局へご確認いただく方が安全と考えます。

以上